金銭面での苦悩
苅谷「そんな話の後、吉岡さん(沼田さんとチームを組んでいる方)からあそこは物件が物件だから」
沼田「なくなるぞと」
苅谷「やるのかやらないのかどっちなんですかっていうかんじの話があったんですよ。やるならもうすぐ返事してくださいっていうことがあって、思わず、やらないとは言えなかったんでお金の段取りもなにもないままやりますっていうこと言ったんですけど。で、デザインをやっていきましょうかっていうことになったんですね。平面図を作ってもらって打ち合わせして工事屋さんに持って行って見積もりをだしてもらってっていうあたりだったかなあ?予算よりだいぶかかっちゃうなあっていうことが僕だいぶわかってきたんですよ」
インタビュアー「なるほど」
苅谷「最初はラーメン屋さんの居抜きみたいな感じをイメージしてましたね。テーブルを並べてキッチンがあるだけの感じで予算的にもせいぜい5~600万ぐらいで収まればいいなと思ってたんだけど」
インタビュアー「銀行からの融資もだいだいそのぐらいの額でっていうところの目安で」
苅谷「いやいやそのころまだ融資する前の段階だったんだけど、まあこけてもいいようになるべく安い予算でやろうと。それともう一つは沼田さんの出してきた平面図には別になにも文句もなにもないんだけど」
インタビュアー「そこでは喧嘩は始まらないんですか(笑)」
苅谷「ないんだけど(笑)今まで19年やってきて他にも店出したり閉めたりしたこともあった中で、設計会社に依頼するっていう経験がなかったんです。工事屋さんに払う工事代金と別に設計屋さんに払うお金がでてくるわけでしょ。なんかこのお金もったいないなぁって。工事屋さんに頼めばパっと図面書いてこんなかんじでどうですかって、実際僕が仲良くしてる工事屋さんも図面書いてきてくれたこともあったんですよ。で、そのもったいないなっていう気持ちと、融資を進めていくなかで、まあ結果的には金融公庫の融資ができなかったんですけど、どうも厳しいかもしれんっていう風になったときに、やっぱりこれはもう沼田さんとこでやって工事屋さんでやるんではなくて、知り合いのとこでやって、沼田さんには不義理になるけども、安く抑える方向でやろうと思って、沼田さんの事務所に行って『申し訳ないけど沼田さん今回外れてくれませんか?』って言ったんです」
インタビュアー「うわ~(笑)」
苅谷「すごいでしょこれ(笑)」
沼田「まあまあまあ(笑)」
苅谷「だいたいそんな流れでしょ?」
沼田「そうそうそう」
インタビュアー「もうだって図面も出てますもんね?」
苅谷「そうそうそう(笑)」
沼田「なによりやっぱ物件探してきたの僕だし(笑)」
苅谷「で、まあそりゃ沼田さん怒ってるよって吉岡さんが。まあ当然だわね。すごく運命的な出会いで物件が巡ってきたのに、動き出したらすごく転んじゃって。これ縁がないのかなって思って、一旦は僕やめますって言ったんです。その前に沼田さんからそれならそれで結構ですから、私は一切関わりないことにしてお好きにやって下さいと」
インタビュアー「やめるっていうのは苅谷さん的にはお店の出店自体をやめると」
苅谷「そうそうそう」
インタビュアー「なるほど」
苅谷「でやっぱその日返事をしたものの諦めきれずに、その日の夜中近い時間に吉岡さんに電話して、やっぱやりたいと」
一同笑い
沼田「最初に伺ってたのは、このお店ができたらゆくゆくはチェーン展開したいっていう夢もあったんです。なんで、多少お金かかるかもしれないけど旗艦店としてやる以上ある程度ちゃんとした造りにしておかないと次に繋がらないよと」
苅谷「言ってました言ってました」
インタビュアー「いつも言ってらっしゃるせっかくちゃんと作るなら低予算で潰れちゃうようなお店じゃなくて、しっかりした利益の出るお店にしたっていうところ」
沼田「のほうが絶対いいと思う。今回は、場所とコンテンツ的にはドンピシャじゃないですか」
インタビュアー「ドンピシャですね」
沼田「絶対いけるからっていう自信があったのもあって、結構強引に進めたっていうのもあります」